2014年9月21日日曜日

資本主義社会の本質を知る-『いま生きる「資本論」』



かつては日本でも思想界の中心にあった『資本論』ですが、1991年のソ連崩壊後、完全に過去のものとなったと思っていました。かと言って、マルクス主義を批判する人の多くは(僕も含めて)、資本論を読破し、理解していないのではないでしょうか。

著者の佐藤優氏は、本書のまえがきで、資本論を危機の時代を読み解き、その解決策を見出すためにとても役立つ古典の一つであり、社会主義国の現実と切り離して「論理の書」として読むことを薦めている。すなわち、日本社会は閉塞感を強めており、アベノミクスで一部では景気が良くなったように言われていますが、それが一般の人々の賃金にどのように反映されているのか、といった資本主義社会における現象を理解するためのフレームワークとして『資本論』は依然として有効な書であるということです。

本書は、著者による6回にわたる講義をまとめたものであり、資本論のポイントについて、とても読みやすくまとめられています。資本論の膨大な量の前に挫折した経験からすると、こうした本を事前に読んでおけば、資本論そのものも理解しやすかったのかもしれないと思います。一方で、読みやすいからといって、本書で資本論のポイントが本当に理解できたと言えるかというと、必ずしもそうではないのかもしれません。なぜなら、簡単に解説するためには、主観的解釈を経て論理を単純化している面があるため、その解説そのものが正しいとは限らないからです。とは言っても現時点で僕に本書を批判的に読めるだけの知見はありませんが。ただ、解説本を読む場合には気を付けておきたい点ですし、やはり解説本で終わらせず、いずれ資本論に挑戦したいと思います。


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