2014年9月27日土曜日

哲学をざっくり理解する-『問題解決のための哲学思考レッスン25』



巷には難しいことをざっくりと簡単に解説した解説本が溢れています。中には古典的名著をマンガにしているものもたくさんあります。ネット上に情報の断片が溢れ、簡単にアクセスができるようになると、難しい本をじっくり読むことができなくなり、「要するにどういうこと?」と結論を急ぎ、こうした簡単な解説本やWikiに頼るようになります。

そういう意味では本書も哲学思想の簡単な解説本の一つではあります。哲学の分野においても、人類の歴史の中で膨大な知の蓄積があり、それらをすべて理解することは一生かけても難しいでしょう。だからこそ、簡単な解説本で歴史や全体像を把握し、その中で自分がどこから手を付けていくべきかを知ることが求められます。

本書の特徴はタイトルにもあるように、哲学の世界から25の概念を取り出し、目の前にある現実の問題に対してそれらの概念をどのように活用できるかという視点を重視しているところになります。ともすると、哲学の概念は抽象的過ぎて現実から遊離したもののように思いがちですが、本書では概念のエッセンスを解説した上で、「どうすれば、ゴミを減らせるか?」といった身近な問題や、「どうすれば、戦争をやめられるか?」といった人類全体のかかわる問題、あるいは「どうすれば、ネガティブな自分が変わるか?」といった個人の生き方の問題などに対するアプローチの方法を解説しています。

現実の題と関連付けながら哲学の概念を解説しているので、具体的なイメージがつかみやすく、これまで、哲学に対して漠然とした興味を持ちながらも岩波文庫の哲学書に何度も挑戦しては挫折してきた僕にとっては、とても良い本でした。一方、あまりにもお手軽すぎるので、これだけでわかった気になってはいけないとも思っています。エッセンスを抽出する上で、相当多くの要素が切り捨てられてしまっていることでしょう。だからこそ、哲学への取っ掛かりとして本書を読み、興味を持った哲学者の思想についてはよりレベルの高い本へ挑戦していきたいと思います。

それにしても、最近難しい大著を読みこなすだけの思考の持久力と忍耐力が低下していることを痛感しています。



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