2013年7月23日火曜日

マンション業界の憂鬱

公示価格や路線価といった公的な指標で見ると、不動産市況は底打ちという評価になりますが、安倍政権が誕生してから、大都市圏の地価は急速に加熱してきています。

年が明けてからはどのデベロッパーと話していても、「事業用地が買えない」、「売り物がない」と嘆き声が聞こえてきます。また、売り物が出ても大抵入札となるので、とんでもない高値で誰かが落札しては、「こんな価格で仕入れて採算がが取れるのか」と皆で首を傾げています。

建築費の方も復興需要やら何やらで資材の高騰以上に職人不足が深刻で、ゼネコンの方も仕事を厳選して受注しようとするので、どんどん高騰しています。

一方で、マンションの販売価格はあまり上がっていません。よく新聞などでは最近のマンションの販売は好調だという記事を見かけますが、価格はほとんど上がっていません。一般のサラリーマンの給料が上がらないと、なかなかコストを価格に転嫁することができないからでしょう。

アベノミクスの恩恵が一般の人にも及べば正常化するのでしょうが、特に中小のデベロッパーにとっては痩せ我慢の時期と言えます。売上を稼いで資金を回していくために、利益率を圧縮してでも土地を仕入れざるを得ないのです。

アベノミクスが成功すればいずれ帳尻が合うかもしれませんが、一度歯車が逆回転し出すと、リーマンショック後のように中小デベロッパーが破綻することにもなりかねません。

走り続けないと倒れてしまうし、走ることでリスクがどんどん大きくなっている、何とも憂鬱な状況です。

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