この本を読むと、張作霖爆殺事件での田中義一首相の対応や二・二六事件に対して感情を露にされたり、立憲君主として上奏されたものはたとえ自分の意見と異なるものであったとしてもこれを裁可するという信念から平和を願いながらも開戦を裁可したこと、平和を願い対米戦争を回避するために信頼する東条英機を首相としたこと、ポツダム宣言受諾での決意など、昭和天皇が困難な時代の中で、いかに苦悩されながら政治に関与されていたかが伝わってきます。
また、昭和天皇による人物評もはっきりと語られていて、米内光政には信頼を置き、東條英機に対しても高い評価をされている一方で、松岡洋右に対しては不信感を持ち、近衛文麿に対しても手厳しい評価で、広田弘毅のことも高く評価をされていません。こうした人物評はなかなか興味深いものでした。
さらに、昭和天皇は対米戦争の開戦にあたり、これを拒否した場合のクーデターの可能性を危惧されていたことが繰り返し強調されています。これは5・15事件や2・26事件、さらには新聞などのメディアの煽動が昭和天皇に強い影響を与えていたことを示していると言えるでしょう。
戦後の象徴天皇として表に出てくる昭和天皇のお言葉からは想像もつかない、国家元首として主体的に政治に関与された上でのお言葉は、とても新鮮であり、昭和史をこれまでと違った視点で見直すことのできる、とても価値のある史料だと思います。
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