政府でも来年4月からの消費税率引き上げの可否について結論を出さなければならないタイミングが近付いてきているわけですが、このところ黒田総裁は増税の援護射撃をするような発言をしています。
増税を先送りして日本の財政規律に対する信任が失われることで国債が暴落し、金利の高騰を招くことを避けたいという立場と、財務省出身で念願の消費税増税を何としても成就させたいという立場、それから総裁就任の経緯から安倍首相を何としても支えなければならない立場など、様々な立場から考えても、黒田総裁の立場からは消費税増税の支持する発言しかできないでしょう。
個人的には所得税を減税してくれるなら消費税はやむを得ないと思っています。この世の中、所得税にしても法人税にしても払っていない人(会社)の数が多すぎます。色々問題はあるとはいえ、様々なインフラを使い、行政のサービスを利用しているにもかかわらず、一部の人や企業が多くの税金を負担しているのは釈然としないものがあります。消費税であれば、ほとんど誤魔化しようがないでしょうから、まずは皆が税金を負担することになります。もちろん、逆進性の問題はありますので、還付等の措置は必要だとは思いますが。
消費税増税の景気への影響についても諸説ありますが、僕は駆け込み需要とその反動で一時的な影響はあるかもしれませんが、長期的に均して見れば、影響は軽微だと思っています。
それよりも税金の世界で、サラリーマンが一番割を食っているのが問題だと思います。サラリーマンは所得をがっちり捕捉され、源泉徴収で税金が給与天引きになるので、誤魔化しようがありません。会社に隠れてバイトをしていた場合でも、バイト先がまともな会社なら、一定の源泉徴収はされるでしょう。個人事業主であれば、事業が順調であれば経費の取り扱いについては一定の裁量でコントロールできますので、節税ができます。大金持ちの資産家ともなれば、あらゆる手段を駆使して節税ができるでしょう。消費税増税と合わせて所得税の最高税率も40%(住民税を含めて50%)から45%(同55%)に引き上げられました。その一方で、国際競争力という観点から、トレンドとして法人税率はこれからも低下していきます。そうすると、高所得者の所得税率が上がっても、会社を作ってそこに利益を落とすようにすればそれだけで逆に税金を減らすことができます。会社のオーナーなどはそういったことが自由にできるでしょう。
少子高齢化で社会保障費の負担が増え、格差社会で税金を負担できない層の割合が増え、大金持ちは節税策を駆使し、あるいは国外逃亡すると、日本経済を支えるサラリーマンがどんどん疲弊していきます。そうなると、「国は誰をどこまで助け、その費用を誰が負担するのか」という問題に立ち返らなければならなくなりますが、この中間層を疲弊させては国の発展はありません。これまで1年交替で首相が変わり、政権として長期的な視点に立って物事を考えることが出来なかったと思いますが、安倍政権が長期政権となって、こうした問題にも腰を据えて取り組んでもらいたいと思います。
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