2013年8月24日土曜日

いつも見出しだけが踊る優遇税制の議論-投資減税について

政府が今秋の成長戦略第2弾の投資減税の目玉の一つとして、企業の設備投資の一定額を法人税から差し引く「税額控除」の導入が検討されているようです。税額控除の期間は5年、控除できる税額は設備投資額の3%となる見通しだそうです。

これを見て、「今秋の成長戦略第2弾の投資減税の目玉」としてはあまりに小粒じゃないかと感じたのは僕だけでしょうか?

確かに、もともと設備投資を考えていた企業からすればメリットがあると思いますが、設備投資の意思決定においてどれだけの影響があるかは疑問です。つまり、投資を誘発する効果としては極めて薄いとしか考えられません。そもそも財政再建のためにいろいろ問題点を指摘されていながら消費税を増税しようとしているのですから、財務省が大盤振る舞いをするわけはありません。結局「見出し」だけが踊ることになるのは確実でしょう。

企業が設備投資をする上でまず考えることはそこから生まれる収益であり、投資にかかるコストです。税金が減るからまず設備投資をしようと考える人はいないでしょう。設備投資を増やしたければ、国としてできることはまず規制緩和で新しい市場が生まれるのを後押しすることでないでしょうか?小手先の税制改正だけでできることは限られています。

つい先日には、旅館、ホテルで固定資産税を減税する話が出ていました。内容は建物の経過年数を50年から40年にしようというような話でしたが、これもせこい話だと思います。地方で経営の苦しい旅館などは、バブル期の過大投資のせいで固定資産税評価額40億円のものが売買では数億円程度の評価となるケースもあります。こうした売買で問題となるのが固定資産税負担の重さに加え、登録免許税や不動産取得税といった売買にかかってくる税金です。これらの税金もすべて固定資産税評価額に連動していますので、どうせやるならこの固定資産税評価額を収益還元法に基づく時価に評価替えをするくらいのことがなければインパクトはありません。地方の旅館、ホテルの再生のためならこれくらい思い切ったことをすれば、赤字が黒字になって追加投資ができるようになったり、より資金力のある会社が買って大々的にリニューアル投資をすることも期待できます。

優遇税制は小さなところで帳尻を合わせようとして、本来の目的に対してあまり意味のないものになりがちですので、安倍首相にはもっと思い切った成長戦略と連動する投資減税を期待したいと思います。

投資減税 3%の税額控除を検討 政府、現在より条件緩和



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